覚えることは1つだけです。
向こうから来た点検には、その場で契約しない。
国民生活センターも消費者へのアドバイスとして「その場では契約せず、十分に比較・検討しましょう」と 案内しています。すでに契約してしまった場合も、まだ終わりではありません。
| いまの状況 | 進む先 |
|---|---|
| 玄関に業者がいる。電話がかかっている | 1章 |
| すでに契約してしまった | 2章(期限があります。先に読んでください) |
| 点検だけ受けて、工事を勧められている | 3章 |
| 親や親族の家の話 | 4章 |
1. いま断る
玄関を開ける必要はありません。 国民生活センターは 「点検を断る連絡ができず訪問された場合にはインターホン越しに点検を断りましょう」と案内しています。
断る言葉に理由は要りません。「家族と相談してから決めます」で足ります。 相手の説明に反論しようとすると、その説明の中で話が進みます。
帰らない、居座る、玄関を閉められない場合は110番してください。 判断材料ではなく、そういう状況です。
身分を疑う材料も知っておいてください。国民生活センターは、身分を偽るケースとして 「自治体から委託を受けた」「契約中のガス会社から依頼された」を挙げています。
「自治体から委託を受けた」と言われたら、それだけで疑う理由になります。 心当たりがなければその場で契約せず、自治体の窓口に自分から電話して確認してください。 相手が渡した番号ではなく、自分で調べた番号にかけてください。
2. すでに契約してしまった場合
期限があります。先に日付を確認してください。
消費者庁の特定商取引法ガイドは、訪問販売についてこう書いています。
法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、消費者は事業者に対して、 書面又は電磁的記録により申込みの撤回や契約の解除(クーリング・オフ)ができます(法第9条)
国民生活センターも起算点を明示しています。
クーリング・オフ期間は、申込書面または契約書面のいずれか早いほうを受け取った日から起算します。
契約した日ではなく、書面を受け取った日からです。 そして 受け取った日を1日目として数えます(「受け取った日から数えて8日以内」)。 書面を8月25日に受け取ったなら、8日目は9月1日です。
8日目でも間に合います
ここは知らないと損をします。特定商取引法 第9条第2項です。
申込みの撤回等は、当該申込みの撤回等に係る書面又は電磁的記録による通知を発した時に、 その効力を生ずる。
効力が生じるのは「発した時」です。 相手に届く日ではありません。 期限の日に出せば、届くのが期限後になっても有効です。 「今日出しても届くのは明後日だから無駄だ」と考えて手を止めないでください。
工事が終わっていても取り消せます
これも知らないと諦めてしまう点です。消費者庁のガイドにこう書かれています。
土地又は建物その他の工作物の現状が変更されている場合には、無償で元に戻してもらうことができます
すでに給湯器が取り付けられていても、クーリング・オフはできます。 そして元に戻す費用は自分の負担ではありません。同ガイドはあわせて次の3点を挙げています。
- 損害賠償や違約金を支払う必要はない
- 「既に頭金等の対価を支払っている場合には、速やかにその金額を返してもらう」
- 商品は販売業者の負担で引き取ってもらえる
期限を過ぎている場合
あきらめる前に読む価値のある記載が2つあります。国民生活センターの記述です。
- 書面に不備がある場合。「書面の記載内容に不備があるときは、所定の期間を過ぎていても クーリング・オフできる場合があります」
- 妨害された場合。「クーリング・オフができないと事業者が言ったり、脅したりして クーリング・オフができなかった場合には、所定の期間を過ぎてもクーリング・オフができます」
やり方
クーリング・オフは書面(はがき可)または電磁的記録で行います。
2022年6月1日から、電子メールや事業者のウェブサイトの専用フォーム、FAX でも通知できるように なっています。国民生活センターは「まず契約書面を確認し、電磁的記録によるクーリング・オフの通知先や 具体的な通知方法が記載されている場合には、それを参照して通知しましょう」としています。
書面等に書くのは「契約年月日、契約者名、購入商品名、契約金額等」と、通知を発した日です。 契約の相手先と代表者名、住所は契約書面に書かれています。
はがきで出す場合、国民生活センターは送付前に両面をコピーし、 「特定記録郵便」または「簡易書留」など発信の記録が残る方法で代表者あてに送付し、 コピーと送付の記録を保管するよう案内しています。消費者庁のガイドも 「特定記録郵便、書留、内容証明郵便等で行うことが薦められます」としています。
特定記録と簡易書留・書留は、郵便局の窓口で差し出します。 日本郵便は差出票に記入して窓口に出すよう案内しており、ポストに投函する方法ではありません。 期限の日にポストへ入れて終わりにしないでください。 なお内容証明は、日本郵便によると差し出せる郵便局が集配郵便局などに限られます。
クレジット契約をしている場合は、販売会社とクレジット会社に同時に通知します。 どのクレジット会社かは、クレジット契約の書面に記載があります。
送付の記録や関係書類は 少なくとも5年間保管してください。
対象かどうかは自己判断しない
国民生活センターは 「上記販売方法・取引でも条件によってはクーリング・オフできない場合があります」と注記しています。 そのうえで、こう案内しています。
クーリング・オフができる取引かどうか不明なときや、書き方や手続き方法が分からないときは、 悩まず、すぐにお近くの消費生活センター等へ相談しましょう。
同ガイドが「クーリング・オフの規定が適用されません」としているのは、 消耗品を使ってしまった場合と現金取引で代金の総額が3000円未満の場合です。
相談先は 消費者ホットライン 188 です。国民生活センターは 「最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です」と 説明しています。つながらない時間帯なら、 全国の消費生活センター等の一覧から 直接かけられる窓口を探せます。
電話の前に、これだけ手元に集めてください。相談が1回で済みます。
- 契約書面と、それを受け取った日
- 業者名・代表者名・住所(契約書面に記載)
- 支払い方法(現金/クレジット契約かどうか)
- 工事が終わっているかどうか
- 契約したときのやり取りで覚えていること
迷っている時間が期限を削ります。 書面を手元に置いて、先に電話してください。
3. 点検だけ受けて、工事を勧められている場合
契約していなければ、まだ何も決まっていません。その場で契約しないでください。 国民生活センターが挙げている手口の問題点には 「『今契約すれば割引する』と契約を急がせる」ことが含まれています。 急がせてくるという事実そのものが、急がない理由です。
勧められた工事が本当に必要かは、別の業者の見積もりと並べれば比較材料になります。 不具合があると言われた箇所を控えて、自分から2〜3社に見積もりを依頼してください。
依頼先の違いと選ぶ軸はどこに頼むかに、 見積もりの見方は見積もりの見方にまとめています。
4. 親や親族の家の話
この類型は増えています。 国民生活センターは 「相談件数は2023年度に入り急増し、2022年度同期の約3倍となっています」としています (2022年度同期=2022年12月31日までの登録分で346件、2023年度は12月31日までで1,099件)。
同センターの発表には、年度別の相談件数も載っています。
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2018年度 | 206件 |
| 2019年度 | 241件 |
| 2020年度 | 245件 |
| 2021年度 | 335件 |
| 2022年度 | 561件 |
| 2023年度(12月31日まで) | 1,099件 |
そして同センターは、こう書いています。
契約当事者の7割以上が70歳以上で、特に高齢者に注意してほしいトラブルです。
伝えるのは1文で足ります。「点検に来た人と、その日に契約しないで」。 手口を全部説明する必要はありません。
家族の側でできることもあります。
- 契約書や見積書が残っていないか確認する。あれば受け取った日を見て、2章へ
- 留守番電話を設定し、非通知の着信を取らないようにしておく
- 通知は契約者本人の名義で出します。書いたり投函したりを家族が手伝うことはできます。 名義や書き方に不安があれば 188 で確認してください
- 相談は原則として本人からです。 ただし国民生活センターは 「トラブルにあった方ご本人が、認知症や病気などで電話することが難しい場合は、 介護や見守りをしている方からの相談も受け付けます」としています
状況ごとの次の一手
- 玄関に業者がいる → インターホン越しに断る。「家族と相談してから決めます」。帰らなければ110番
- 契約してしまった → 契約書面を出して受け取った日を確認。8日以内なら通知を出す。並行して 188
- 契約書面が見つからない/対象か分からない → 手元の資料をまとめて 188
- 点検だけ受けた → 契約しない。2〜3社の見積もりと並べる
- 親の家の話 → 「その日に契約しないで」と伝える。契約書の有無を確認する